高血圧

外来での血圧が140/90mmHg以上の場合、高血圧と診断します。
家庭血圧の場合は、135/85mmHg以上の場合、高血圧とします。

医療機関血圧140/90mmHg以上
家庭血圧135/85mmHg以上

※家庭で血圧を測りましょう

起きてから1時間以内

排尿をすませてから

食事をしたり薬を飲む前

1~2分座って安静にした後

就床前

1~2分座って

安静にした後

高血圧になると、血管の壁が厚くなり弾力性が失われ、コレステロールが沈着して動脈硬化が進みます。そのまま放置すると動脈硬化が進行して、心臓病、脳卒中、腎臓病などの重大な病気になることがあります。

高血圧はサイレントキラーと言われるように、自覚症状はあまり現れません。日頃から血圧を管理し、合併症を予防することが大切です。

少し血圧が高いだけと自分で判断せずに、早めに内科を受診することをお勧めします。

合併症の種類

心血管障害心肥大、心不全、狭心症、心筋梗塞 など
脳血管障害脳出血、脳梗塞、クモ膜下出血 など
腎機能障害腎硬化症、腎不全 など
血管障害大動脈瘤 など

高血圧において非常に重要なのは「早期発見・早期治療」です。
少しでも不安に感じることがありましたら、早めに検査を受けることをお勧めします。

合併症の種類

血圧の目標値

75歳未満の人は血圧を130/80未満にしておくことが、脳梗塞、脳出血、狭心症、心筋梗塞、腎不全などの病気を防ぐために大切です。75歳以上の高齢者では140/90未満が目標となります。

血圧の治療目標値

(8)肥満について

高血圧の治療

高血圧の治療は、生活習慣の改善と薬物療法とを組み合わせて行います。
生活習慣の改善とは、食塩の過剰摂取、肥満、運動不足、喫煙などを見直すことです。

塩分摂取制限

摂取量を1日6g以下を目標にします。

肥満の防止

適正体重、BMIで25を超えないようにします。

禁煙

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ血液を流れにくくします。

運動療法

マイペースで楽しんでできる運動を行いましょう

ストレスの軽減

精神的な緊張は交感神経を刺激して血圧を上げます。

睡眠

自分にとって最適な睡眠を確保しましょう。

生活習慣の改善は1人でやろうとしても、なかなか長続きしないものです。
生活習慣病はそれぞれの出来る範囲で上手く付き合っていく方法を考える必要があります。
高血圧の専門的な知識を持つ医師とともに、生活習慣の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

生活習慣の改善だけでは血圧が下がらない場合、薬物療法も併せて行います。血圧を下げる薬は、多くの種類がありますが、どの薬が良いかは、高血圧以外の病気の有無や他に飲んでいる薬などにより変わります。
当院では、単に血圧を下げるだけでなく、一人一人に合った薬を選択するようにしております。

日常生活の留意点

(1)減塩について

塩分をとり過ぎると体内に水分が蓄積し、血流量を増加させます。これにより血圧が上昇します。1日6g未満を目標にしましょう。

(2)寒さについて

暖かい所から急に寒い所へ出ると、血管が収縮し、血圧が上がります。特に冬は室内と外気との差をなるべく少なくするようにしましょう。
具体的には。外出時、マスクやマフラー、手袋などで肌の露出部分を少なくする。居間と浴室、便所の温度差が少ないよう暖房や着衣に気を付ける。夏、冷房が効き過ぎた部屋から出る時にも血圧は上昇するので、外気との温度差が5度以上にならないよう気を付けましょう。

(3)入浴について

入浴も血圧の上昇や下降に関係します。特に冬は、寒い脱衣所で裸になると血圧が上がり、熱い風呂に入るとさらに上昇し、風呂に浸かっていると徐々に下がります。そして、風呂から上がると血圧は大きく下がります。あまり熱い湯(42℃以上)ではなく、ぬるめ(40℃ぐらい)の風呂に5~10分間位浸かりましょう(長湯は禁)。前述のように、風呂場は冷くないようにするのが良いでしょう。

(4)排泄について

いきみの時間が長いと血圧が上がります。スムーズな便通を心掛けるよう普段から便秘を予防しましょう。具体的には。毎日便意がなくても、決まった時間にトイレに行く。とくに、朝食後が望ましい。朝食前に冷水や冷たい牛乳を飲む。繊維の多い野菜(人参・大根・ごぼう)や海藻類を多く摂る。腹部のマッサージする。(注意※ 腹部大動脈瘤を持っている人は行わないようにしましょう。)緩下剤などの下剤を服用する。
なお、日本式の便器にしゃがむよりも、洋式便器に腰掛けて用を足すほうが、急激な血圧の変動を避けられます。

(5)十分な睡眠と休養について

毎日規則正しい生活を送り休養を十分にとり疲れを残さないようにしましょう。過重労働・超過勤務・夜更かしは禁物です。

(6)たばこについて

喫煙により血管が収縮し、一時的に血圧が上がるばかりでなく、血液の流れを悪くし、血液が凝固しやすくなり、動脈硬化の原因となります。

(7)お酒について

1日の飲酒量は、男性ではアルコールとして1日20~30mlまで、日本酒なら1合=180cc、ビール中びん1本、ウイスキー水割ならシングル2杯まで。女性はその半分までが適量です。

大量飲酒は血圧を上げ、脳卒中や心臓病、肝臓病などの原因になりますが、一方では少量飲酒者は飲まない人に比べて動脈硬化がいくらか軽く、心筋梗塞や循環器病での死亡が少ない事も知られています。一部の人を除いては、禁酒の必要はありません。

(8)肥満について

太り過ぎは血圧を上げ、心臓にも負担をかけ、全身の動脈硬化を進めたりします。肥満判定基準で男女共に、BMI=25以上は肥満といえます。

(8)肥満について

(9)運動や労作について

運動や労作の許される程度は、その人の高血圧の重症度や合併症の有無と関連するので、まず医師にどの程度運動しても良いかをたずねてみましょう。軽い運動(散歩・自分のペースでのジョギング・ラジオ体操・自転車にのる)は、血液の流れを良くし、全身に良いだけでなく、肥満防止につながり気分転換にもってこいです。但し、運動をしていて、息切れが強い、胸がドキドキする、頭がフラフラするなどの症状が起こり、しんどい時は、医師に相談して下さい。

家庭で血圧を測定する場合の留意点

血圧は、運動・安静・入浴・排便・食事・睡眠・体調・精神緊張等の条件で著しく変わります。測る前には、5~10分位安静にし条件を一定にした状態で測ることが望ましいです。

  1. いつも同じ腕・姿勢・時間に測るようにしましょう
    人によって左右差があります。左と右で血圧が10mmHg以上違う場合は、高い方の腕で測りましょう。
    座った姿勢が望ましいです。座った後、1~2分安静後に測定しましょう。
    朝は起床後1時間以内(食事、服薬の前に)測定しましょう
    夜は就寝前に測定しましょう
    体調が悪いときには血圧を測定しましょう
  2. 測るときは、きついシャツ等で腕の上部を締め付けないようにしましょう。
  3. 血圧計は、腕と同じ高さのところにおいて測りましょう。
  4. 血圧の記録

2回測定してその平均(2回測って2で割る)値を記録しましょう

高血圧は手術で治る?

高血圧は手術で治る?

日本人の高血圧の約90%は原因がはっきりわからない本態性高血圧といわれています。原因ははっきりしませんが、生活習慣、遺伝などが血圧に影響を与えているとされています。
残りの10%は、原因が明らかな二次性高血圧。これらのなかには手術などで治療できる場合があります。

その中で代表的な疾患の一つが原発性アルドステロン症。
原発性アルドステロン症は、アルドステロンというホルモンが体内で過剰に分泌されてしまう疾患です。アルドステロンが過剰になると、食塩が体内に貯まり、血管の中に食塩と水分が増加するため、血圧が高くなります。

さらに、アルドステロンそのものが脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、不整脈、腎障害等を引き起こします。

副腎にできた腫瘍や副腎全体が肥大する過形成により、アルドステロンが多く作られます。
片側の副腎からアルドステロンが過剰に分泌されるのであれば、手術で取り除くことによって、高血圧が改善し、降圧薬の減量あるいは中止が可能になります。

若い人で高血圧になってしまう方に多く見られます。
原発性アルドステロン症は簡単な血液検査から調べることができますので、ぜひ一度、検査をお受けください。

トクホで高血圧がよくなる?

日本では、高血圧対策として特定保健用食品(通称:トクホ)が数多く販売されていますが、その効果は限定的で、肝障害や腎障害などの副作用にも注意が必要です。